毎週、企画書を100本書き続けるための見える化プロセス。

|名物編集者が名物なりえたひとつの要素|

最近、ナニかと話題の花田紀凱
マルコ・ポーロ」や「uno!」など、
話題の雑誌を作ってきた名物編集者。
彼のプロフを見てくると、
近年は寂しさを感じてしまうが、
専門的に尖ってきた感じもする。



ま、そんな感傷はどうでもいい。
花田氏に関するニュースを見ていて、
昔のコトを思い出した。


昔、何かのインタビューで、
こんなことを言っていた。


|企画の鬼は企画量も鬼なのだ|


「毎週の企画会議には、
ひとり100本の企画案を出させます。
そのほとんどがボツになり、
厳選された極僅かな企画のみ採用されます。
この100本ノックが大事。
何事も、数多くアウトプットする。
それを繰り返すことで、
身体が覚えることが多い」



ざっくりこんな感じ。


正直、毎週100本も企画を作るのなんて、信じられない。
誰かに読まれるレベルの企画案を、この量、このペースで出し続けるためには、相当なインプットとアウトプット能力がないと実現しないだろう。

さぼるやつもいるだろうから、盛っている、と疑心暗鬼な私は勝手に決めつける。


|私だってやっていたさ、企画案作り|

私も若いときは、企画会議に出すための企画案を毎週、毎週、大量に提出してきたが、これはなかなかしんどい作業だ。


いや、ただの作業なら楽だが、企画作りは創造的作業なので、それはそれは苦しい。
苦しいけれど、持っているインプットをどう生かしていくのか、本当に勉強になった。



|履き潰した靴の数なんだぜ|

まずアウトプット前に、インプット。
ネットが今ほど使えない時代。
情報は足で稼ぐ、そんな時代。

かつて高城剛さんにインタビューしたとき、

情報はテレビや雑誌、ネットにはなくて、メールでやってくるんですよ


と、言っていた。
彼が言う“情報”とは“生きた”情報だ。

まだ誰も知らないからこそ、
“NEWS”なのだ

彼が言いたいのは、ネットワークの仲間から、直接、届く情報こそ、生きている、と。


私も、友だちや仕事仲間、知り合いや居酒屋、ありとあらゆる人たちから情報を直にもらう。
これはまさに“時価”。



|ネタはそのままじゃ使えない|

何かネタが入ってくれば、今度はそれを変換してみる。
うちの読者にとっては有効か無用か。
中年向けのネタだって視点を変えれば若者向けに転換できることもある。
料理と似ているのかもしれない。


何せ、大量に企画を書かないといけないから、情報は無駄にできない。



手持ちの情報は限られている。
次はこれを企画に変えていかないといけない。



企画会議にはハードルがある。

ネタにgo=決定を出すのは3人。
(編集部により異なる)


1.編集長(最終決済)

2.副編集長

3.デスク


編集長は「いつ、どのくらいのページ」を決済するのが仕事なので、熱量と情報量も判断する。



|対象者の好みを探れ|

編集長と副編集長、デスクはそれぞれ好みが違う。企画を考えるときには、誰に刺さるかも考える。


1.誰に
1-1編集長・副編集長・デスクの誰に?
1-2読者層のうち、どんな読者に?

2.何を
2-1企画の意図は何か?
2-2読者の利益は何か?

3.どんなレベルで
3-1その読者にウケる理由
3-2事実関係や数字的な裏付け

4.どうやって
4-1構成ラフ
4-2写真が多いのか、グラフか、文章か

などなど、納得させる相手とターゲットが違うので、双方の要素を簡潔にまとめないといけない。

1企画1ページというフォーマットがあったので、A4用紙1枚にこれを集約させていく。

この作業を毎週、毎週、毎週、毎週、、、
やっていくのが編集者の仕事。
当時は毎週30本は提出していた。


ある意味、徹底的な顧客目線である。



|決裁権は誰にあるか、それは顧客|

編集者やデスクという顧客に対しては、
「新規性・売れるか」
が重要な要素だ。

読者にとっては、
「面白い・役立つ」
が買ってもらえる要素だ。


読者の半歩先を行き、面白いと感じる事実が提示できていれば買ってくれる。
これがあれば結果的に“売れる”は満たされる。



ふと思うのだが、
こんな当たり前のことなんて、どの職種でも同じではないか。
誰でもこんなことはしている。

ITだろうが、金融だろうが、広告だろうが、メディアだろうが、飲食だろうが、美容だろうが。
いや、もっと深い次元でやってる。
そんな人は常勝。

はぁ、そんな人になりたい。
いつも、俺は当たり前のコトしかしてない。


あ、で、私がとても感謝しているのは、この超めんどくさいことを、お金をもらって強制的にやらせてもらったことだ。


最近、ちょっと自分への負荷が緩んでいるような気がするから、もう少し己に対して課題を与えてみよう。