“取り次ぐ”という仕事がネットに取って代わられる日。

|存在意義がそのまま仕事になる|


出版業界において、
取次店という、
出版社と書店を“取り次ぐ”仕事がある。

以前も書いたが、
大手になると、この取次店が、
部数や配本先、さらには内容にまで、
口を出してくることがある。

ま、多くの売れ筋を見てきたから、
そのご意見は拝聴に値するが、
それだけでは新しい企画は、
日の目を見ないことも確かだ。

取り次ぐというのは、
一般的に言えば仲卸しみたいなもの。
配送や在庫など、書店の手間を考えれば、
これまではかなりの価値があった。

が、
ECが拡大するほどに、
その役割に疑問を持つ声も高くなる。





|無視できないAmazonの力|


Amazonが取次店を飛び越えて、
出版社からの直販をはじめて、
10年らしい。

昨今の状況を考えれば、
部数を確保したい出版社としては、
卸し価格への魅力だけでなく、
在庫確保や早さ、
そして顧客へのリーチは見逃せない。

記事でも書いてあるが、
契約後に卸率を変更させられたり、
これまでの出版業界の枠組み破壊に
繋がったとしても生き残るには、
仕方ない、、、
という判断も生まれてくる。

これにより新しい仕組みや、
方法論、戦略が生まれてきて、
業界再編に繋がるなら、
それもアリなのかもしれない。



|美容室業界も大きな変革期|


今、私が仕事をする美容室業界に、
置き換えてみると、
いくつかの捉え方がある。


Amazonというプラットホームが、
業界を牛耳ることで仕組みが、
彼らの言いなりになるという、
可能性に関して言うのなら、
ホットペッパービューティーが、
美容室の集客プラットホームとして、
牛耳ることに近いのかもしれない。

ホットペッパービューティーでしか
集客ができない、
ということと、将来的に、
Amazonでしか本が売れない、
という状況が重なる。

その場合、
集客に関しては、ホットペッパービューティーのいいなりになるしかない。
(現実的にはそんなことはないが)

プラットホームを押さえる、とは、
そういうことだ。

これはまだ美容室は生き残る。
(お金はかかるけど、お客はくる)


|ネットが流通を掌握する日|


次は極端な話、
Amazonが美容商品の取り扱いを
し始めたとき、のケース。

いや、Amazonでも美容商品は売ってる。
がしかし、あれは一般商品で、
美容室で扱う美容専売品はない。
(という建前になっている)

メーカーから直接、
美容専売品が美容室に届けられたら、
ディーラーと呼ばれる代理店は不要になる。
これは出版業界に近い状況だ。

これが進めば、
美容専売品の一般消費者への販売が始まり、
美容室でシャンプーを買う人はいなくなり、
美容室の商品売り上げはなくなる。

ま、劇的に極端だが。

少なからず、既にそんな状況は生まれている。

しかし、
出版業界と違うのは、
美容室の場合、お客さんひとりひとりに対し、
美容師という人が介在する点だろう。

美容は消費者ニーズが十人十色なので、
選択肢が幅広く、統計的アプローチが難しく、
ネット販売がバラつく。
だからこそ、売り上げが高まらないのだが、
そこにはネット優位性を防ぐポイントになる。

現実的にこれからの美容室業界で言えば、
メーカーから美容室への直販が増え、
“強み”を打ち出せないディーラーは、
倒産か、大手に吸収されて再編され、
商品はさらにネット販売に流れ、
価格競争にさらされていく。

というのが普通の流れだろうか。


|求められる存在であるか?|


どの業界も同じことだが、
メーカーもディーラーも美容室も、
ま、我々、周辺業者も、
他社と区別してもらうための、
“強み”や“らしさ”が何かないと、
生き残れない時代なのだ。